「へえ…牧畜が盛んな地域では悪な存在の狼も、農業が盛んな地域では畑を荒らす動物を食してくれる存在として神格化されている場合もあるんですねぇ」
マジョリアルがマグワートの話に感心していると、
「真逆の扱いとは狼さんも気の毒にな」
ウイザットが憂い顔でそう言った。その発言に対しマグワートが応える。
「人は自分にとっての視点…つまり主観が最優先じゃからのう」
「物事は客観的に見ないといけないってことですよね?」
「まぁ公平性を重視するならそうかも知れんが、過剰な客観的スタンスは自身の視点がブレてしまうことにも繋がり、そうなると自分自身を見失う可能性も出てくる。人は当たり前じゃが自分の人生しか生きられないので、必然的にまずは自分ありき、自分優先、という生得的欲求があり、そこに客観性をAdd-onする意識を持つことで社会性が保たれる。狼も主観では悪でも客観では神、またはその逆もあり得る。つまり、自分の考えや意見とは真逆のそれらを持っている人達も居る可能性を常に念頭に置き、自分のみが正しいという思い込み、或いは外部に絶対的な基準を求めることはせず、主観、客観のどちらかに大きく偏らずにそれらの擦り合わせをしつつ、公平なスタンスに於いて、自身にも他者にも愛と思いやり、リスペクト、そして感謝を持って生きることが大切と言えるじゃろう」
「結局狼さんは…人によって悪、神どちらにもなり得るんだな」
「狼としては何も変わらないニュートラルにただ狼で在っても、視点による受け取り方は多面的ということじゃな」
2025年12月19日号につづく❣


