「確かに…開けていない扉の向こう側の量子は波のままなので…確定していない状態にあるからパラレルワールドというものは存在しない…と考えることも出来るかも知れんが…それは結果を見ているワシらの視点での話じゃ」
「ワシらの視点?」
ウィザットがマグワートの言葉をなぞる。
「実は量子は波か粒子かということではなく、波と粒子の二重性=状態の重ね合わせという性質を持っていて、それをコヒーレンス(可干渉性=波動が互いに干渉出来る状態)と言うそうじゃが、その時には量子は波の状態に見え、観測という行為が量子系と環境との相互作用を引き起こし、それが重ね合わせの状態を崩すデコヒーレンスを発生させ波の収縮が起き粒子となって確定する…という考え方もあるんじゃ」
「それとパラレルワールドとの関係は?」
マジョリアルが質問する。
「つまり…量子学に於いての波動関数は複数の可能性を同時に併せ持つことが出来るけれど、環境との相互作用によって物理現象の世界では単一の結果しか観測が出来ない。その単一の世界がワシらが今居る世界=ワシらの視点ということじゃ。例えば…コインには表面と裏面とがあり、サイコロには六面あるが、確定していない重ね合わせの状態では全ての面が同時に存在している。それがワシらが観測した途端に表か裏、六面の中のどれかの面となり、可能性として存在していた重ね合わせが一つの結果として確定する為、その結果しかワシらは観ることが出来なくなるが、観測出来ない面も確かに存在している。それがパラレルワールドが存在するという理論じゃ」
2025年4月11日号につづく❣