スピリチュアル物語 第260話 幼児健忘症

「生まれてから2歳位迄の記憶が無い理由はまた少し違うかも知れん」
マグワートの言葉に

「違うのかい?」
ウィザットの得意気な顔が引っ込む。

「確かにconsciousnessとも言えるが、2歳頃迄の記憶が無い主な理由は幼児健忘症によるものらしいぞ」

「健忘症?」
マジョリアルが怪訝な顔をする。

「健忘症と言うと病気みたいに聞こえるが、幼児健忘症は自然なことらしい。その頃迄の脳は、特に記憶を司る海馬が未発達で長期的な記憶保持が難しいのと、いつ、何処で、何をしたか…というエピソードに紐付いた記憶の定着が出来ないこと、言語能力が未熟な為に言葉として記憶をラベリングすることが出来ずに保持し難い、というのが主な理由で、更には、脳の神経細胞ニューロンの急速な生成のほうにエナジーが奪われている時期なので、記憶保持にエナジーが回らない、また、この世に生まれて来てSpiritとしては何度目かも知れんが、肉体(Body)としては初めてのことばかりなので、あらゆる経験が強烈過ぎて脳が発達してくる頃には2歳頃迄のぼんやりとした記憶を掻き消してしまうことも要因の一つらしい」

「ということは…記憶っていうのは、海馬さんの働きもあるけれど、はっきりとしたエピソードが無いと残り難く、更には言葉として認識しているってことですか?」

「確かに2歳前でも印象強い出来事は憶えている感じがするぜ」

「大きくなった後の記憶だって印象に残っていないことは忘れているわ」

「だな…日記でも付けていないと思い出せないことも多いよな」

「それでも全ての記憶は残ってはいるんじゃが」

2026年4月3日号につづく❣

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